世界史を学び直すのにおすすめの本【大人向け】

社会人が世界史を学び直すのにおすすめの書籍

この記事は主に、世界史を学び直したいと思っている社会人の方向けに、

  • 社会人が世界史を学び直す2つの目的
  • 目的ごとにおすすめの書籍

についてまとめています。

本を購入する前に、そもそもなんで世界史を勉強するの?っていう目的をはっきりさせておくと、勉強もめちゃくちゃ楽しくなるし、モチベーションもアップします。

さらに記事の後半では、私が実際に読んでみて「面白い!」「勉強になった!」と思えた本を紹介していきます。

  

  

社会人が世界史を学び直す2つの目的

社会人が世界史を学び直す目的

そもそもの話ですが、どうして私たちは「世界史を学び直そう」と考えるのでしょうか。

社会人が世界史を学び直す目的は下記の2点があると思います。

  1. 高校生レベルの世界史の知識をある程度まで取り戻す。
  2. いろいろな視点から世界史を見直し、現代に活かせる思考を養う。

結論から言うと、1だけを目的にするのではあまり意味がないと私は思っています。

つまり、1はできるだけサクッと終わらせて、早く2に進むことをおすすめします。

その理由について、詳しく説明していきます。

1.高校生レベルの知識を取り戻す

大体の人が最初に思いつくのは、「高校の授業で学んだ内容をもう一度おさらいしよう」ということだと思います。

私たちが「世界史」という言葉を聞いてまず頭に思い浮かべるのは、「学校の授業で学ぶ世界史」だからです。

その思考の裏には、

とりあえず基礎知識を身につけて、社会人として最低限、誰と話しても恥ずかしくないようにしておかなければ

という想いが動機になっていると思います。

そういう意識を持てている時点で、その人は周りの人に比べて1歩抜きん出ている人です。

そして、まずは基礎から!という手段を選ぶのも正しいと思います。

「高校生の時に習ったこと、全然覚えてない!」という人にとっては、いきなり色々な歴史専門書などを読んだりしても、難しくて挫けてしまう可能性もありますしね。

まずは学校で習った内容をざっくりおさらいできる本(後で紹介します)を読んで、6〜8割くらいの知識を取り戻すことが大事です。

世界史知識を取り戻す

ポイントは「受験生の頃と全く同じレベルにまでもっていく必要はない」ということです。

社会人ですから。忙しいし、あまり時間もないですよね。

何より、最初からハードルをあげすぎるとモチベーションが保てません。

これは私の経験から感じたことですが、

たとえ6〜8割程度でも、基礎知識をザッとおさらいすることによって、その後にいろんな研究者や学者さんが書いている歴史本を楽しく読めるようになります。

そうすると結果的に、受験生の頃よりもずっと内容の濃い知識が身につき、それらの知識は「知性」へと変化していきます。

ここからが、より楽しくて面白い、次の学びのステップです。

2.いろいろな視点から世界史を見直す

1では、知識を頭に入れることだけが目的でした。

ここからは、「知識」を「知性」に変えていく勉強になります。

「知性」とは、「物事を知り、考えたり判断したりする能力」のことです。

世界史の知識は無限大

時代を行ったり戻ったりして、比較しながら世界を捉え直す思考を鍛えます。

ダラダラと通史を学び直すより、視点を変えて

  • どうしてこうなったんだ?
  • この時この人は何を思ってたんだ?

ということを知ったりすることの方が何倍も面白いはずです。

また、歴史を学ぶということは、「過去の成功や失敗、傾向から学ぶ」ということでもあります。

例えば

アメリカでトランプ大統領が当選した時、世界中の多くの人々がそのニュースに驚きました。

しかし、冷静になって過去の歴代大統領の系譜を見直していくと、トランプ大統領と似たような人が当選したケースが実は何度もある、ということがわかったりします(森本あんり著『宗教国家アメリカの不思議な論理』参照。記事の後半で書籍紹介してます)。

歴史を学ぶと、「あ、こういう状況の時にトランプさんみたいな人が人気になるんだね」というようなことがわかってきます。

すると、「じゃあ、今はこういう状況だから、こういう可能性が出てくるな」という「未来予想」ができるようにもなるわけです。

過去のことを学べば学ぶほど、未来の先の先まで予測できるようになっていく。

これは社会人にとって強い武器になるのではと思います。

これこそ、ただ通史をおさらいするだけでなく、いろいろな角度から歴史を読み直すことをおすすめする理由です。

世界史の基礎と応用

人によっては、研究者が書いた専門の歴史本から読み始めて「面白い!」と思って、もっと楽しむために基本に戻って高校の知識を学び直す、というパターンもあります。

いずれにしても、基礎知識を頭に叩き込むことだけを目標にしてしまうとつまらないし、モチベーションが保てません。

その先にある、より深い世界史の学びを楽しみましょう!

  

おすすめの本を紹介

ここからは、目的別におすすめの書籍を紹介していきます。

基本的な知識をおさらいした後は、自分の興味がある歴史本から読んでいけば良いと思います。

高校で学んだ世界史の知識を取り戻すための本

一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書


高校レベルの知識を取り戻すなら、ひとまずこれを1冊読んでおけば良いと思います。物語のような語り口調でとてもわかりやすく、全体の流れを頭に入れやすいです。

いろいろな歴史書を読んでからもう一度この本に戻って読みなおすと、「著者がどれだけ重要なポイントを押さえて説明してくれていたか」がよくわかります。

サブウェポンとして持っておくと最強な資料集

ニューステージ世界史詳覧(浜島書店発行)


  • 高校生レベルの世界史の知識を取り戻す
  • いろいろな視点から世界史を見直す

2つの目的の両方に役立つのがこの本です。

自信を持って言いますが、これ1冊持ってると最強です。情報量がエグいです。

  • あらゆる時代の地図が載っている
  • あらゆる情報が図解化されている
  • こまめに年表を載せてくれている

とにかくいろんな情報をビジュアル化してくれていて、かゆいところに手が届く内容です。浜島書店さん、すごいなあ。感服の一言です。

「読み物」ではなくあくまで資料集なので、歴史書などの本を読むときに、これを傍らに置いて参照しながら読むのがおすすめです。

これがあるかないかで、読む本の難易度がガラッと変わります。

1997年に初版が発行されてから、時代に合わせて改訂されていっているロングセラー本。主に高校生向けの教材として売られている本ですが、今持っている高校生は卒業しても絶対に捨てちゃダメです。

私は中学高校で使っていたのを捨てずにずっと取っておいたので、これがめちゃくちゃ役に立ちました。(私が持ってるのは2005年版ですが、十分役に立つ内容です。)

おそらくですが、本屋さんに常時置いてある本ではありません。

Amazonでも売ってますが定価よりちょっと高め。書店で注文すれば取り寄せてもらえると思います。

いろいろな視点から世界史を読み直せる本

お金の流れでわかる世界の歴史


「経済」という1つの視点に絞って世界史を見直すと、こんなに面白いんだ!と思えた本です。結局、お金があるかないかが国の繁栄を左右してるのねーというところがすんなり納得できます。

経済に詳しくない人でも、問題なく楽しく読めます。

私の詳しい感想記事はこちら(別タブで開きます)

お金の流れでわかる世界の歴史

帳簿の世界史


こちらもお金関連の視点で世界史を見直した本ですが、本書は西洋史が中心です。

「帳簿をきちんとつけて、お金の管理をしっかりやっていたかどうか」。これが国の良し悪しを決めていたということがよくわかります。

国や政治だけでなく、会社経営や家計を上手になりたたせるための教訓になる1冊です。

私の詳しい感想記事はこちら(別タブで開きます)

帳簿の世界史

独裁の世界史


  • 残虐非道なイメージを持つ独裁者は、どのようにして生まれるのか?
  • 民主主義の日本にも、もしかしたら独裁者が現れるかもしれない?
  • 実は独裁者政治がうまくいくパターンもある?

学校の授業では習うことのない、こういった視点から独裁の世界史をわかりやすく語ってくれているのがこの本です。

そもそも「民主政」ってなんだっけ?っていう「政治のしくみ」の基本のところから学び直させてくれる本でもあり、個人的にはかなりおすすめの本です。

私の詳しい感想記事はこちら(別タブで開きます)

独裁の世界史

宗教国家アメリカのふしぎな論理


トランプ大統領が生まれた背景を説明しながら、アメリカの独特なキリスト教信仰について語った本です。

少し内容が難しめの本ですが、なかなか興味深い内容です。

オバマ大統領の「Yes We Can」が熱狂的に唱えられていた理由も、この本を読むと理解できるようになります。

教養としての「中国史」の読み方


中国の人々の独特な思想を、歴史から紐解いて説明してくれている本です。

お隣同士の国でありながら、日本と中国がこんなにも違うのには、こういうカラクリがあったのか!という発見がいっぱい詰まっています。

中国史をおさらいする上でも、中国という国を理解する上でも、とてもためになる本です。

私の詳しい感想記事はこちら(別タブで開きます)

教養としての中国史の読み方

新しい世界史へ 地球市民のための構想


今まで学んできた世界史を根本から変えていこうという、えげつない構想を語った本です。

国によって、学校で教えられる世界史の内容は異なります。その異なる歴史認識が、対立を生む原因になってしまっています。

本書はそれを払拭し、「世界はひとつ」という考えをベースに、「地球市民」皆が共通で理解できる「新しい世界史」を作ることを目標に掲げています。

いろんな先入観が覆される本ですが、「私たちが真に学ぶべき世界史はこれなのかもしれない」と思います。

私の詳しい感想記事はこちら(別タブで開きます)

新しい世界史へ

おわりに

いかがでしたでしょうか。

興味が持てる本が1冊でも見つけられたのであれば幸いです。

歴史には多面性があり、歴史を読み解く視点は無限大に存在します。いろいろな観点から過去を学び、現在に役立てていけると良いと思います。